Google口コミに関する法律・法的リスク【名誉毀損・侮辱罪を解説】
Google口コミには、ときとして法的問題になりうる書き込みが投稿されることがあります。一方で、口コミへの返信方法によっては、店舗側が逆に法的リスクを負うこともあります。本記事では、Google口コミに関連する法律と法的リスクについて、サロンオーナーが知っておくべき基本的な知識を解説します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的アドバイスではありません。具体的なケースについては弁護士に相談することをお勧めします。
口コミに関連する主な法律
1. 名誉毀損罪(刑法230条)
「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」場合に成立します。ポイントは「公然と」「事実を摘示」という点です。口コミは多くの人が見られる公開の場であるため、「公然と」の要件は満たされます。
ただし、真実であっても名誉毀損が成立する点が特徴です。ただし、公共の利益を図るための真実の告知は違法性が阻却される場合があります(いわゆる「真実性の抗弁」)。
法人(お店)に対する名誉毀損は「信用毀損罪(刑法233条)」として扱われることがあります。
2. 侮辱罪(刑法231条)
事実を摘示せずに人の名誉を侮辱した場合に成立します。具体的な事実の記載がなくても「最低なお店」「詐欺まがいの行為」などの表現は侮辱罪に当たる可能性があります。2022年の法改正で厳罰化され、懲役・禁錮刑が加わりました。
3. 業務妨害罪(刑法233条・234条)
「虚偽の事実を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損し、またはその業務を妨害した」場合に成立します。事実と異なるネガティブな口コミが業務に実害を与えた場合、業務妨害罪に該当する可能性があります。
4. 不正競争防止法
競合他社による組織的な低評価口コミは、「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、または流布する行為」として不正競争行為に該当する可能性があります。
問題のある口コミを受けた際の法的対応フロー
ステップ1:証拠の保全
まず口コミのスクリーンショット(URL・日時・投稿者情報を含む)を保存します。時間が経つと口コミが修正・削除される場合もあるため、早めの証拠保全が重要です。
ステップ2:被害の記録
口コミ投稿後の売上変化・問い合わせ数の変化・実際に「口コミを見て来店をやめた」という声など、具体的な被害を記録します。これは損害賠償請求の際に必要になります。
ステップ3:Googleへの削除申請
法的対応と並行して、Googleへの削除申請も行います。法的な証拠能力はGoogleの申請とは別に確保しておきましょう。
ステップ4:弁護士への相談
IT・インターネット関連の法律に詳しい弁護士に相談します。「発信者情報開示請求」の可否・費用対効果についてアドバイスをもらいましょう。
ステップ5:発信者情報開示請求
弁護士を通じて、Googleに対して口コミ投稿者のIPアドレス・アカウント情報の開示を求めることができます(プロバイダ責任制限法に基づく)。この情報をもとに、さらに当該プロバイダに対して氏名・住所などの開示を請求します。
店舗側が注意すべき法的リスク
口コミへの対応方法によっては、店舗側が法的リスクを負うこともあります。
リスク1:口コミへの反論による名誉毀損
口コミへの返信で「このお客様は〇〇という問題のある方でした」「以前も同様のトラブルを起こしています」などと個人の情報を公開すると、店舗側が名誉毀損を犯すことになります。
リスク2:サクラ口コミによる景品表示法違反
自店のサービスを実際に利用したことのない人に口コミを書いてもらったり、お客様にプレゼントをあげる代わりに高評価口コミを書いてもらう行為は、景品表示法の「不当表示」に該当する可能性があります。消費者庁からの措置命令・課徴金納付命令の対象になることがあります。
リスク3:口コミ削除要求による恐喝
口コミを書いたお客様に直接連絡し「口コミを削除しないと法的措置を取る」などと圧力をかけることは、恐喝・強要に当たる可能性があります。
重要:口コミへの対応で感情的になりやすいのは理解できますが、法的リスクのある行動は取らないよう注意しましょう。「まず弁護士に相談する」を習慣にすることで、不用意な法的問題を防げます。
口コミに返信する際の法的に安全な表現
【法的リスクの低い返信の例】
〇〇様
ご意見をいただきありがとうございます。ご記載の内容について、社内で確認を行っております。私どもの認識と異なる点もございますが、〇〇様がご不満をお感じになったことは真摯に受け止めております。
詳しいご状況をお聞きし、適切に対応させていただきたいと思っております。お手数ですが、直接ご連絡いただけますと幸いです。
〇〇サロン 店長
まとめ:口コミと法律の基本
Google口コミに関する法的リスクを正しく理解することで、不当な口コミへの適切な対応と、自店が法的問題を起こさない対応の両立が可能になります。
- 虚偽・名誉毀損・業務妨害に該当する口コミには法的手段が取れる
- 店舗側の返信・対応も法的リスクを負う可能性がある
- 証拠の保全と弁護士への早期相談が重要
- 感情的な対応は法的リスクを高める